!Rapamycin
はじめに
ラパマイシン（Rapamycin）は、もともとは抗真菌薬として発見されましたが、その後、免疫抑制剤としても広く使用されています。特に臓器移植患者の免疫抑制に利用されています。しかし、最近の研究では、ラパマイシンが細胞の老化を遅らせる可能性を持つことが示されています。
ラパマイシンの作用機序
ラパマイシンは、mTOR（mammalian target of rapamycin）というタンパク質を阻害することで効果を発揮します。mTORは細胞内でタンパク質の合成や細胞増殖を制御する重要なタンパク質であり、がんや糖尿病などの疾患にも関連しています。ラパマイシンはmTORの活性を抑制することで、細胞の成長や代謝を調節し、老化を遅らせる可能性があります。
ラパマイシンと内皮細胞の老化
最近の研究では、ラパマイシンが内皮細胞の老化に対して新たな作用を持つことが示されています。内皮細胞は血管内膜を形成する細胞であり、老化に伴って機能が低下します。ラパマイシンは内皮細胞のストレス誘導性老化の過程において、オートファジーの活性化を介して内皮間葉転換を促進させることが報告されています1.
内皮間葉転換とは？
内皮間葉転換（Endothelial-mesenchymal transition, EndMT）は、内皮細胞が間葉系細胞に変化する現象です。この過程では細胞の形態が変化し、細胞表面の分子の発現も変わります。EndMTは炎症や線維化、がんの進展などに関与しています。
まとめ
ラパマイシンは、細胞の老化を遅らせる可能性を持つ薬物として注目されています。内皮細胞の老化に対しても有望な効果が示されており、今後の研究でさらなる詳細が明らかになることを期待しています。
1: Rapamycin promotes endothelial-mesenchymal transition during stress-induced premature senescence through the activation of autophagy
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