NMNの基本
NMN（ニコチンアミドモノヌクレオチド／Nicotinamide Mononucleotide）とは、ビタミンB3の一種であり、体内で生成されるNAD+（ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド）の前駆体です。NAD+は、細胞のエネルギー産生に関わる重要な物質であり、加齢とともにその量が減少することで、様々な老化現象が引き起こされると考えられています。
NMNを補給することで体内のNAD+を増やし、サーチュイン遺伝子（寿命に関わる遺伝子／最後に詳しく解説）を活性化させることができます。サーチュイン遺伝子の活性化により、抗酸化作用や細胞の修復などの効果が期待できるのです。
NMNに期待される効果
これまでの研究では、NMNの投与により以下のような効果が示唆されています。
- 肥満や糖尿病などの老化関連疾患の改善（動物実験）
- 高齢者の身体能力低下防止や認知機能の維持
- 美肌効果
- 抗がん作用
- 視力低下の予防
ただし、これらの効果は個人差があり、即効性は期待できません。継続的な摂取が必要とされています。
NMNサプリメントの選び方
NMNサプリメントを選ぶ際は、以下の点に注意しましょう。
- 高純度のNMN（99%以上）を含有しているか確認する。
- 信頼できるメーカーの製品を選び、品質管理が行き届いているものを選ぶ。
- 極端に安価な製品は粗悪品の可能性があるため注意する。
- NMNの吸収を高める工夫がされているか、他の抗老化成分との配合も考慮する。
NMNサプリメントの1日の摂取量の目安
NMNサプリメントの1日の摂取量の目安は、これまでの研究や専門家の意見を総合すると以下のようになります。
- 一般的な目安は1日あたり100～300mg程度
- 東京大学や慶応大学などでのヒト臨床試験では、1日の摂取量を100～250mgに設定
- 高齢者を対象とした国内の研究では、1日250mgの継続摂取で歩行速度や握力の改善が見られたと報告
ただし、医薬品ではないため法的に定められた用法・用量はありません。1000mgといった大量摂取を推奨するクリニックもありますが、高用量の長期的な安全性は確認されていません。過剰摂取は肝機能への悪影響の可能性もあるため、目安量を大きく上回る使用は控えるべきでしょう。
現時点では、NMNサプリメントの1日の摂取量は200～300mg程度を目安とし、最大でも500mg以内に抑えるのが無難だと考えられます。個人差もあるため、自身の体調と相談しながら適量を見極めていくことが大切です。
サーチュイン遺伝子について
サーチュイン遺伝子（長寿遺伝子、抗老化遺伝子とも呼ばれる）は、老化や寿命の制御に関わる重要な遺伝子群です。ヒトを含む哺乳類には7種類のサーチュイン遺伝子が存在し、それぞれ異なる働きを持っています。
サーチュイン遺伝子の活性化により、以下のような効果が期待できます。
- 炎症の抑制
- 活性酸素の消去
- 代謝の改善
- 細胞老化の抑制
- 脳卒中などの認知症リスク低減
- DNAの修復を通じた癌予防
サーチュイン遺伝子は普段は働いておらず、カロリー制限や運動、サウナと冷水浴の繰り返しなどのきっかけで活性化します。酵母の実験では、サーチュイン遺伝子の働きにより寿命が延びることが示され、ゲノムを安定化することで老化を防ぐ作用メカニズムが解明されつつあります。
まとめ
NMNは体内で生成される天然の物質ですが、加齢に伴いその量が減少するため、サプリメントでの補給が注目されています。適量を守り、質の高い製品を上手に活用していくことで、抗老化や健康増進の効果が期待できるでしょう。ただし、過剰摂取は肝機能への影響が危惧されるため注意が必要です。自身の体調を見ながら、無理のない範囲で続けていくことが大切だと言えます。
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